GOLF&GOLF 連載

大東将啓博士プロの「ゴルフホームドクター」!

「人の欠点は良くわかるのに、自分のことはわからない」のは、客観的に自分のゴルフスイングをチックする機会が少ないから。自分がわからないままで練習することは「鏡を見ずに化粧をする」ようなもの。

この連載では、プロのゴルフスウィングを客観的に見て「気付きの提供」をして、自分でチック出来る練習方法「200種類のドリル」を通じて、自ら健康管理をするように上達を「トータルサポート」するものです。毎回の練習ドリルを通じて、それぞれの効用を理解した上でトレーニングをすることで、必ず結果が生まれてくることでしょう。

アニカ・ソレンスタムのゴルフスイング

世界最強の女子プロゴルファーであるアニカ・ソレンスタムのゴルフスイングを分解写真で見て驚かれる方も多いのではないか。彼女はルックアップ打法と言われているように、インパクトでボールを見ていないのである(下段左から二番目の写真)。ゴルファーの多くは「地面のボールを確り見て、ヘッドアップをしないように!」と教えられたのではないだろうか。 

彼女のティーチングプロのピア・ニールソンがアプローチの距離感が合わないアニカ・ソレンスタムに「目標意識を高めるために、ダウンスイングからターゲットを見る練習をしよう。」とアドバイスした。「地面のボールを見るよりも、目標のイメージを鮮明に持つことの方が大切だから」との弁。人間は、視覚の行く所に意識が集中する傾向がある。地面のボールを確りと見ようとすればするほど、目標の意識が薄れるのだ。キャッチボールをする時の目線は相手のグローブであり、そこに意識を集中することにより腕の振りかぶる動作が自動的に行われる。ゴルフの場合も地面のボールを「漠然」と見て、目標のイメージを鮮明に持つことにより距離感が合ってくるはずだ。

「効果的な練習ドリル」1.

@     目標イメージドリル(効用:振り抜きが良くなり距離感がでる。又ヘッドスピードが速くなり飛距離が出る。)

目標の意識を高める練習方法として効果的なドリルは、プリショットルーティーンからの習慣付けである。まずボールの後ろに立ち、自分の打とうとしている球筋を鮮明に頭に描く。そしてボールに向かってアドレスした時に、もう一度ターゲットを2秒以上「凝視」してそのイメージを頭に残したまま、視線だけをボールに返して来る。その時、地面のボールは「凝視」せず「ボンヤリ」と目線に入っているだけの状態。頭の中のイメージが100%ターゲットのままでショットするのだ。すなわち目線と意識を分離するトレーニングを毎回毎回のショットで試みよう。

 

 

 

 

 

 

 

A     連続タオルスイング(効用:スムーズなスイング形成に役立つ。)

バスタオルの端に結び目を作り、反対側をグリップして連続のゴルフスイングを3分間続ける。バックスイングはゆっくりとしたリズムで、結び目が左脇下に「ポン」と当たったと同時にリズム良く切り返しをして振りぬく。フィニッシュでは右脇下に結び目が当たる。これを連続で3分間毎日続ける。ガラスや鏡の前で自分の姿をチェックすれば、より効果的だ。3週間後には、ゴルフスイングが自然と体に身に付き、驚くほどスムーズなスイング形成が可能となる。

不動裕理プロのゴルフスイング

昨年の女子プロゴルフ界であらゆる記録を樹立した不動裕理。年間十勝し獲得賞金額約一億五千万円は、男子の賞金王である伊沢利光プロのそれを上回った。平均ストロークやパット数をはじめあらゆる部門別のランキングでもナンバーワンであった。国内女子では、文字通り敵無し状態。彼女のゴルフスウィングは、前回紹介した世界最強の女子プロゴルファーであるアニカ・ソレンスタムのそれとは見た目の上で違う。特徴はトップオブスイング(上段の丸)とフィニッシュ(下段の丸)。ジョン・デーリーのようなオーバースイングからフィニッシュまで一気に振り抜く。特に最後までよどみなく振り抜かれるフィニッシュが不動プロの強みとなっている。このフィニッシュを可能としているのが、「鮮明な目標意識」である。不動プロの場合、ターゲット以外の物を白く塗りつぶす作業をしていると言う。すなわち頭の中の真っ白なキャンバスの中にターゲットを持つ事により、それだけ目標意識が高まるわけだ。だからこそ、大きなフォローのフィニッシュが可能となる。外見上ソレンスタムと違っていても、「鮮明な目標意識」持つことは日米の女子賞金王が同様に行っているところである。

「効果的な練習ドリル」2

@     目隠しドリル(効用:体の動きのフィードバックがより鮮明に得られることにより、ゴルフスイングを体感することが出来る。)

目隠しをした状態で素振りスイングを試みてみよう。目隠しをすることにより、体のフィーリングが鮮明になる。すなわち視覚からの情報がない分、その他の感覚が敏感になるためだ。同時に目標イメージを頭の中で持つトレーニングにもなる。慣れてきたら、実際にボールを打つことをお勧めする。目を開けてショットしていた時にはなかったフィーリングや気付きがあるでしょう。

A   手伸ばしスクワット(効用:肩甲骨を伸ばすと同時に背筋のトレーニングを兼ねて下半身とスイングの安定をはかる。)

手の平を前に向けて両手を伸ばす。上腕で耳をふさぐようにする。日頃から肩甲骨の稼動領域を高めておけば、両腕が真っ直ぐと伸び、両耳を上腕でタッチできるぐらいになる。この状態を保ちながら、スクワットを10回行う。両腕を地面と垂直に保って状態でのスクワットは、背筋のトレーニングにもなる。通常のスクワットと違って効果抜群なので、毎日10回、3セットを目安に行えば、下半身とゴルフスイングの安定度が高まる。

高橋勝成のゴルフスイング

シニアツアーでは、ルーキーイヤー2000年から昨年まで、4年連続の賞金王に輝いている高橋勝成プロ。高橋プロのスイングの特徴は、シャフトが描くスイングプレーンが一定している点だ。ダウンスイング時のグリップエンドがボールを指し、フォローする―でもグリップエンドが同じ点を指していることから、そのことが解る(矢印がボールを指している)。すなわち、シャフトが一定の面の上をスウィングしている結果だ。これは、前傾姿勢を保った状態の上半身を軸として腕と手を回転しているから可能となるのだ。これが出来れば、クラブヘッド軌道の安定だけではなく、クラブフェースの向きも一定でインパクトを向かえボールをヒットすることが出来る。高橋プロのショットの正確性は、このスウィングプレーンの安定から生まれる。この体の動きを習得するうえで効果的なのが「背中で合掌ドリル」である。ゴルフスウィングから手と腕の動きを分離して、体の根幹の動きを習得することにより、理想的なスウィング形成の早道となる。同様に何時でもクラブを握り慣れる練習も重要となる。何時でもクラブを握ることで、自分に合った「しっくり」としたグリップが可能となり、滑らかなスウィングプレーン形成に役立つ。

「効果的な練習ドリル」3

 

@     握りなれドリル(効用:握り慣れることで自分のグリップがしっくりする。力が入らない、柔らかなグリップが可能となる)

お箸とナイフ&フォークのどちらが使いやすいだろうか?日本人であれば、毎食使っているお箸であろう。ゴルフのクラブも毎日握ることにより、グリップの形など考えることなく、しっくりとした自分の握りが可能となる。座った状態で肘を折った状態であれば力が入ることもない。そのまま円を右回り、左回りと描く。そして8の字。最後は、自分の名前をローマ字で描いて見よう。テレビを見ながら、寝転びながら毎日クラブを握り慣れることが大切だ。

 

A背中で合掌ドリル(効用:胸を張り背骨を軸にして体の捻転を覚える。アドレス、トップ、フィニッシュの姿勢が習得出来る)

背骨を中心とした軸をゴルフスイング中に維持することは、なかなか難しい。そのためのドリルが「背中で合掌」である。背中で合掌できない人は「背中で腕組み」状態でも良い。毎日練習することにより、肩甲骨の稼動領域が広がり、「合掌」が出来るようになるはずだ。アドレスの状態から左肩が右膝の上まで来るトップオブスイングを作る。その後は、体の捩れを感じながら一気にフィニッシュまでもって行く。ゴルフスイングの体の基本的な動きを習得するためには効果的な練習ドリルだ。

尾崎将司プロのゴルフスイング

尾崎将司プロは昭和22年生まれの57歳。1970年のプロ転向以来、通産113勝。この歳で今尚現役で活躍しているプロは世界でも類を見ない。40年前の春の選抜高校野球で徳島海南高校のエース&4番として全国制覇を成し遂げ、翌年プロ野球西鉄ライオンズに入団した。レギュラーツアーで長くに渡り活躍出来るのも野球で培った体力と努力の賜物であろう。トップオブスイングのポジションは、クラブがターゲットと平行になっており、理想的な形。今でも平均ドライバー飛距離285ヤード(29位)はこのトップの位置から生まれる。気になるのはダウンスイングからインパクトにかけての上体の伸び上がり度合いが大きいこと。アドレスの頭の位置から比べれば、インパクト時では頭一つずれている(丸円)。これはアドレス時にハンドダウン(黒線)に構えているのが、インパクト時にシャフトと腕が一直線になろうとしているために起こる。この状態ではフェースローテーションが過度に行われ、ショットの安定度が落ちる傾向にある。昨年の尾崎プロのフェアウエーキープ率が52.93(87位)と落ちているのは、このことによることが大きいであろう。インパクト時の上体の伸び上がりをチェックするドリルとして効果的なのが、伸び上がり防止ドリルだ。

「効果的な練習ドリル」4

 

@口に葉書ドリル(効用:1.スイングプレーンをイメージし易い。2.トップで肩が顎の下に入るのをチェック出来る。3.インパクトで歯を食いしばることを防止。)

ベン・ホーガンは首の根っ子からボールまでのガラスのスイング面をイメージしたと言われる。このドリルは実際に葉書等を咥えることにより、スイングプレーンのメージが湧くと同時にトップで葉書の下に肩が入ることをチェックすることで、十分な上半身の捻転が約束される。またインパクトでの力みの緩和にも効果的だ。三つの効用がある極めて効果的なドリルなので、試してみよう。

 

A伸び上がり防止ドリル(効用:伸び上がりながら打つ動作を防止する効果がある)

片山晋呉プロも取り入れている練習方法。アドレス状態でのシャフトの上に少しの余裕を持たせてヘッドカバー等を垂らしておく。上半身が伸び上がりながらインパクトを迎えれば、シャフトが当たる事により、チェックする事が出来る。シャフトプレーンが安定することにより、ショットの安定度が高まる。

片山晋呉プロのゴルフスイング

片山晋呉プロのゴルフスイングは一般アマチュアの一番の参考になるであろう。身長171センチで体重73キロのどちらかと言えば小柄な体型で2000年の賞金王以来、常に賞金王レースに絡んでいる。2001年には全米プロ4位で、アメリカでもカーボーイハットのシンゴとして認知されるに至った。片山プロのゴルフスイングの特徴は、インパクト周辺でのシャフトプレーンとフェースアングルの安定度であろう。アドレス時のシャフト角度がインパクト時でほとんど変わらないのが夫々の直線から分かる(シャフトの直線)。これは上半身の前傾姿勢が保たれていることから可能になっている(背筋の直線)。またグリップが腰の高さでのダウンスイングとフォロースルーでのフェースの向きを見れば(フェースの向きを表す線)インパクトを挟んでの半円のゴルフスイング中にクラブフェースが左右対称に回転して、しかもゾーンでボールを捕らえている点が観察できる(他の選手に比べてフェースの返す度合いが少ない)。これらは、腕と体が一体となってスイングしているから可能となる。腕と体の一体感の有るグゴルフスイングを形成する上で効果的な練習が、ストレッチバンドを使ったドリルである。

「効果的な練習ドリル」5

 

@ストレッチバンドドリル(両脇)(効用:両腕が一体となってスイングする感覚を習得出来る)

腕が一人歩きして体とばらばらな動きをしているゴルファーは意外と多い。

収縮性のあるゴムを両腕に結ぶことにより、上半身と一体感のあるスイング形成が可能となる。

 

Aストレッチバンドドリル(左脇・右脇)

(効用:脇が体から離れるスイングの矯正に役立つ。ダウンスイングで右脇が体から離れる場合は右脇と上半身、フォロースルーで左脇が体と離れる場合は左脇と上半身にバンドを巻く。)

フォロースルーで左脇がフライングエルボーになるゴルファーは意外と多い。腕を主体でスイングをしているからで、左脇にバンドを巻くことにより、所謂「ボディースイング」が習得出来る。バックスイングからダウンスイングで右脇が上半身から離れるゴルファーには、右写真の様に右脇にバンドを巻いてスイングすると良い。上半身との一体感が生まれる。

宮里藍プロのゴルフスイング

いまや国民的アイドルの宮里藍プロ。高校生アマチュアでプロトーナメント優勝という偉業を成し遂げたのが昨年の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」。今年も地元沖縄で行われた日本女子ツアー開幕戦で優勝を果たし、一躍、日本ゴルフ界のアイドルに。そして、6月には2週連続優勝と、トッププレーヤーの一員として目覚しい活躍を見せている。

宮里プロの特徴は、スイング中の頭の動きである(アドレスとインパクトの円)。それは以前紹介した尾崎将司プロと反対の動きで、頭半分沈み込みながらインパクトを迎えている。これはタイガー・ウッズと同じ動きである。もう一つの特徴は大きなフィニッシュに現れている振りぬきの良さであろう。よどみなく最後まで大きく振りぬかれたスイングは、「ヘッドスピードが秒速42mにも関わらず270ヤード」と広告に書かれているほどの効率的なものとなる。アマチュア男子並みのヘッドスピードでどうしてそんなに飛距離が出るのだろうか。それはボール初速、打ち出し角度とスピン量が理想的な関係になっているから。彼女の場合、ミート率が高く、打ち出し角度が15度でスピン量が2550rpmぐらいの数値。すなわち自分に合っているクラブを見つけ確りとしたスイングが重要なポイントとなる。

「効果的な練習ドリル」6

 

@バスケットボールハンドドリル(効用:腕の振りを中心とした体の一体感のあるゴルフスウイングが習得出来る)

両手でバスケットボールを持ってゴルフスウィングをする。バスケットボールを動かす事により腕の振りと体が一体感のある動きが習得出来る。体のストレッチにもなり大きな筋肉の動きのトレーニングとなる。

 

A風船アームドリル (効用:両腕の中に風船を挟んでゴルフスウィングをする事により、手と腕の一人歩きを防ぐ)

手と腕だけでゴルフスウィングして上半身が捩れていないゴルファーが、意外と多い。特にスライサーは、腕だけでスウィングして、クラブヘッド軌道がアウトサイドインになっていることが多い。風船を腕の間に挟んでハーフショットの練習をする事により、上半身の捩れがある理想的なスウィングが可能となる。

東尾理子プロのゴルフスイング

八歳でゴルフを始め、高校二年の時に日本女子アマチュアマッチプレーに優勝した東尾理子選手。活躍は日本だけにとどまらず、日大へ進学した94年、全米女子アマでベスト8入り。95年にフロリダ大学へ留学。全米大学体育協会(NCAA)が全米のスポーツ優秀者に贈るオールアメリカン、学業優秀者に贈るアカデミック・オールアメリカン、全米女子プロゴルフ協会(USLPGA)がゴルフと学業に優れ、社会福祉に貢献した学生ただ1人に贈るダイナ・ショア・アワードを受賞。プロ入り後も、今年はアメリカを主戦場に選んで活躍中。

160センチ50キロの彼女が、アドレスでO 脚に構えることで、土台が安定したドッシリ感のある構えを心掛けていることが分かる(上段左端の矢印)。その形がトップオブスイングまで保たれており、理想的な姿勢となっている。この姿勢をとる事で安定感があり上半身を大きく使ったゴルフスイングが可能となる。ただダウンスイングで右の踵が地面から離れるのが少し早いのが気になる点(上段右端の赤円)。 フニッシュではシャフトが背中に巻きつくまでしっかりと振りぬいた形の躍動感のあるI字フィニッシュになっている(下段右端写真の青線)

「効果的な練習ドリル」7

 

@股割りストレッチ(効用:股割りをすることにより、股関節の深部筋を活性化させ下半身の安定度を増す。同時に故障の予防にも役立つ。)

両手を外転させ胸を張った姿勢で、つま先を180度に開く(左写真)。その状態のまま腰を落として行き、相撲力士の股割りの体勢をとる。出来る限り腰を床に近づける動作を10回を目安に行う。これは、脚の付け根から大腿骨につながっている深部筋の内転筋を強くする動きである。ゴルフの捻転に深く関係している、股関節を柔らかくすることにより、スイングの安定度が高まりる。

 

Aワイドスタンスドリル(効用:広いスタンスを取る事により下半身を固定して上半身主体のゴルフスイングを覚えることができる)。

通常は肩幅といわれているスタンスを、目一杯に開いてスイングする。下半身が動きすぎで安定感の少ないゴルファーに最適のドリル。上半身の捻転を感じることが出来るので、効果的な肩の回転を覚える効果がある。