POINT3

アドレス篇@
太いグリップにして手は重ねない。

グリップ1 グリップ2
シンプルなスイングはハンマーグリップから生まれる。10本の指で自然に握ると、一体感が出てくる。

 ナチュラルスイング・ハンマー打法の極意は、ハンマーでクギを打つようなイメージで、ボールを打つことだと言ってきた。今回からは、その具体的な方法を見て行こう。

 まずハンマー打法専用のクラブを見て驚かれることは、そのグリップの太さだろう。写真でご覧いただければ分かるように、通常のグリップよりかなり太めになっている。そこで最初の疑問、なぜグリップが太いのかだ。

 ゴルフの知識がまったくない子供や大人の人に、クラブを渡して、握らせるとどんな握り方をするだろうか。ほとんどの人が間違いなく手の平で握り、しかも両手を重ねずに握ろうとするだろう。例えば野球の選手がバットをオーバーラッピングやインターロッキングで握っているだろうか。テニスプレーヤーがラケットをフィンガーグリップで握っているだろうか。否。テニスプレーヤーは手の平でラケットを握り、野球選手は両手を重ねないベースボールグリップにしているものだ。共にこの握り方がラケットやバットをしっかり握る方法であるし、何よりもごく自然な握り方であるからだ。それではなぜゴルフだけが、インターロッキングやオーバーラッピングなどといった特殊な握り方をするのだろう。答えはグリップが細いからだ。自然に握ろうとすれば、どんなプレーヤーでも右手は潜在的に太いグリップを求めているものだ。その証拠が両手の一部を重ねあわせた握り方として現れてくる。細いグリップを手の平で握ろうとすれば、指が余ってくる。そこで手が要求する太さを出すために、両手の一部を重ねあわせるようになってくるのだ。つまり、左手人差し指の上に右手の小指を重ねることによって、握りやすい太さを出しているのだ。また手の小さいゴルファーがインターロッキングで握れと教わるのは、左手人差し指の上に右手小指を重ねないので、それだけ太さが細く感じられるからだ。もっとも手の小さい人は、両手を重ねなくてもベースボールグリップで握ることができる。子供がそのように握るのは、ゴルフクラブのグリップの太さが、ちょうどよい太さになるからなのだ。

 それではどうしてゴルフのクラブだけ、グリップが細いのだろう。これには正直、確たる根拠はまったくない。昔からゴルフのクラブはそういうもので、いわば伝統的な太さでしかなかったのだ。しかもハリー・バードンがオーバーラッピングという握り方を考案して以来、その握り方が最良のものとして取り入れられてきたに過ぎないのだ。ゴルフクラブを握る方法には、このバードングリップ、インターロッキング、ベースボールグリップが言われている。クラブを握る方法が多いということは、それだけ複雑なわけで、悩まざるを得ないことになってしまう。しっかり握れないために、グリップが悪いと指摘されるのは、だれもが経験したことだ。だからこそ、グリップを太くして左右10本の指で自然に握ることを勧めるのだ。そうすれば、両手に一体感を持たせようなどと考えなくても、自然に一体感が得られるようになってくる。そして無理のない自然な握り方ができるから、クラブの握り方で悩むということはなくなってくる。

 ここで、少し出てきた疑問を見てみよう。それは、両手を重ねないで握ると利き腕が利き過ぎてボールは曲がるのではないかということだ。しかしこのハンマー打法は、利き腕を積極的に使うスイングなのだ。利き腕を使うことによって曲がるということはまったく心配ない。むしろまっすぐに、さらに飛んでくれるのだ。このことはスイング篇で十分な説明をするので、このアドレス篇では握り方、構え方、スタンスの取り方などをしっかりマスターしてほしい。

 余談になるが、リー・トレビノをして「生きている伝説」と言わしめたカナダのモー・ノーマンプロ。彼のあのシンプルで、完全無欠の方向性と飛距離は、今回学んだ太いグリップで、両手を重ねない握り方無くしては、なし得ない打法なのだ。

 「ハンマー打法」では太いグリップを要求している。そのために専用のクラブがナチュラルゴルフジャパン(0720-53-5050)より発売されている。

スイング 使用中のクラブをマイ・グリップで太くする。
グリップを太くして手の平で握ると、テニスのラケットを握るように自然にしっかりと握れる。

 

グリップ グリップ
利き腕は、潜在的に太いグリップを求めている。 グリップの太さ比較。普通のグリップ(左) ハンマーグリップ(右)

 

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