新連載にあたって

 1995年のJPGAツアーのシンデレラボーイである田中秀道プロが、メンタルトレーニングを通じてトッププロの仲間入りをしたのは記憶に新しい。だがアメリカでは20年以上前からスポーツ心理学者のサポートを受けることがトッププロとしては当り前のことだったのだ。

 ゴルフの技量が成熟し、プレーヤーのパーフォーマンスがピークに達するのは、30歳を超えてからである。他のスポーツでは考えられないことだ。それだけ習得しなければならない事が、他のスポーツに比べて多いがらであろう。だからこそ各々の分野の専門家が、プレーヤーをサポートする体制が必要なのである。

  明日のスタープレイヤーとして名高いタイガー.ウッズには、5人の専門家がサポートしているという。スイングをチェックするティーチングプロ、メンタル面を教えるスポーツ心理学者、身体づくりを担当するトレーナー、食事面をケアーする栄養士、全てをコーディネートするコーチ。各々の専門家が結集し、将来のスターを育てるべく躍起となっているのだ。当然本人の努力が一番大切な事ではあるが、個人一人の力ではどうにもならないのだ。

  1994年12月3日11:05PM、PGAティーチング&コーチングサミット出席の後、私はバージニア州シャーロット空港に降り立った。雨が降りしきる田舎の空港に私を出迎えてくれたのは、スポーツ心理学の世界的権威である、ボブ・ルーテロ博士自らであった。その日から足掛け3日間、博士の家に寝泊りし、話を聞き、まとめることができた。

  「Dr.ルーテロのゴルフがうまくなる考え方」が読者のゴルフの上達の手助けとなれば幸いである。

大東将啓 (東香里ゴルフセンター)