第25回:スコアの計算をしなければ100は切れる

週は、100や90のいわゆる"スコアのカべ"はなぜ生まれて、どうすれば克服できるかをお話しした。今週はもう少し補足をしよう。

 スコアの力べを克服するためには、まずスコアの足し算だけはやめなければならない。毎ホールのスコアを足して、100を切るためには残りのホールでいくつ出さなければならないか、というような計算をやめるのだ。これは白分自身でも、またプレーヤ-同士についても言い合うことをやめなければならない。

 プレー中にスコアをあれこれ話すことはない。各ホールのスコアを記入するのは仕方のないことだが、合計はプレーが終了してから計算すればいい。プレーが終わってからスコアについて興奮すればいいのだ。まだ終わっていないプレ-に対して、スコアをどうこういっても仕方がないのではないか。

 理想的なのは、プレーに集中して、残りのホールの数も分からないまま、プレーを終了してしまうことだ。「計算してみたら100を切っていた」ということでいいのだ。これはツアープレーヤーについてもいえることだ。難しいことだが。また、100や90を切りたいとか、10O以上は叩きたくないというように、自分にリミットを設けてもいけない。心理面のリミットを設定したとたんに、それが現実のものとなってしまうからだ。 自分のスイングが、このスコアなんだと思ってしまうのだ。

 例えば、トム・カイトが105のスコアの人のスイングで、彼のマインド(精神)を使ってラウンドすれば、間違いなく80のスコアは出せるだろう。そのスイングであれば、ティショットではドライバーは使わないだろうし、セカンドショットでピンを無理に狙わないだろうし、パー5でも2オンも狙わずにいくだろう。しかしアマチュアは、105のスイングで、アーノルド・パーマーのような戦略で攻めるのだ。これはよいコンビネーションとはいえない。

 よいプレーヤーというのは、ショットが悪くなれば、攻め方を抑えるものだが、悪いプレーヤーになればなるほど、ショットが悪ければ余計にアグレッシプ(攻撃的)な攻めをするのだ。その105のスイングであれば、それにふさわしい戦略というものがある。ラウンド中は18ホール終了時のスコアを考えるよりも、今プレーしている1打にもっと気を配って集中しなければならないのだ。