第31回:ミスすると思ったショットは必ずミスになる

のラウンド練習で、ミスショットばかり出たとしたら、あなたはいったいどうするだろう?私がプレーヤーにいつもアドバイスしていることは、プレーをよくするために考えられるすベてのよい考え、思い込みを持つように学ばなければいけないということである。

 また、考え方の柔軟性も必要だ。具体的にいうと、朝の練習で調子がよいのであれば、ゴルフコースにおいても調子がいいと信じることだ。反対に、朝の練習での調子が悪いときは、練習場とコースはまったく違ったものであり、コースでは調子が戻るであろう、という柔軟性が必要なのだ。1993年のボブホープクライスラークラシックのときのことである。その週私はトム・カイトに付き添っていた。最終日を迎え、彼はトップと2打差の好位置であった。

 しかし、スタートの前の練習で彼は最悪の調子であった。前日までの好調がウソのように、すべてのショットがミスになっていた。博士、われわれはいつも話してきたね。練習場での調子が悪くてもそれをコースに持ち込まず、新たに気持ちを切り替えてやることを」といってスタートしていった。1番ティに立ち、夕ーゲットにだけ集中して完壁なショットを打った。セカンドも7番アイアンでピンの1.8メートルにつけ、バーディでスタートした。終わってみればこの日は10アンダーの62のラウンドで、もちろん優勝した。優勝スコアの35アンダーはツアーの新記録であった。練習場でのフィーリングを捨て去ることができたからやれたのだ。

 一番いけないのは、朝の練習で調子が悪く、ミスショットの恐れを抱いたままスター卜することだ。そしてコースで案の定ミスをして、朝の練習の悪さを責めることである。強い精神を持って、ミスショットの恐れを取り去り、ターゲットに集中してプレーをしなければならない。自分がミスをすると思ってミスするのと、うまくいくと思ってミスするのでは、前者のほうがより高い確率で起こり得る。

 ミスをすると思って打ったパットはカップインしないし、ミスをすると思って打ったボールは必ずミスショットになる。池に入る恐れを持ってプレーするか、ターゲットに向かって飛んでいくことを信じてプレーするかは、そのプレーヤーの自由意思だが、当然うまくいくことを信じて打つほうがいいに決まっている。それならば、いつもその考え方を貫くことだ。